大きな青いトマト

 

「どれが食べたい?」

 

 

と僕が聞くと、

 

 

「うーん、私、トマト好きだよ。」

 

 

と君は答えた。

 

 

 

 

あまりまめでもないにもかかわらず、

君に喜んでほしくて僕は家庭菜園をはじめた。

 

 

植える種はもちろん決まっている。

 

 

 

 

芽が出て、葉が出て、ちょっとしおれて、

また元気になって、花が出て、

 

 

半年の間ずっと肥料や水を毎日与え続けた。

 

 

 

 

元気がなくなったときは、どうすれば元気になるか必死になって調べた。

毎日のちょっとした成長が嬉しかった。

 

 

いつか君に食べて喜んでもらうために。

 

 

 

 

そうやって、やっとのことで実ができてきた。

 

 

「ああ、もう少しで、食べてもらえる。」

 

 

そう思うと嬉しくて居ても立っても居られなくなった。

 

 

「あ、本当だ。大きな実が成ってるね。」

 

 

君も笑ってそういってくれたよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自分勝手でごめんね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

突然だった。

 

 

 

喧嘩をしたわけでも、嫌いになったわけでもない。

 

僕らの将来がただ交差しないことが分かってしまっただけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、またか、ばかなことをしてしまった。」

 

 

 

 

こんなん、適当に、ほどほどにすればよかったのかな。

こんなに真剣になればなるほど、傷ついてしまう。

 

 

 

 

言葉でも態度でもずっと伝えてきた。

精一杯の愛情を溢れるほどに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぜんぶ、ぜんぶ、無駄だったのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤くなる前のまだ青い大きなトマトは

涙の塩にやられて下を向いて枯れてしまった。