52ヘルツの鯨

 

 

 

気がついた時には、僕は独りだった。

いや、独りじゃなかった時なんて無かったのだろう。

 

 

 

生まれ落ちた瞬間から僕の声は親に聞こえていないようだった。

 

 

 

どれだけ声を出しても

誰にも届かない。誰も振り向かない。

 

 

 

暗い海の中、一際高く奇形な声が遠くまで響き渡る。

 

 

 

今はもう誰かに伝えるために声をだすことは無くなった。

ただ、時折どうしても胸がしくしくと痛くなってしまうので、祈りにも似た想いを声に出す。

 

 

 

「僕はここだよ……ここにいるよ…。」

 

 

 

誰にも届くことなない叫びは

反響すること無く遠くまで響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

52ヘルツの鯨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ワトキンスらによって報告された52Hzのクジラ”とされるもの”のスペクトログラム2000年録音

52ヘルツの鯨(52ヘルツのくじら, 英語52-hertz whale)は、正体不明の種のの個体である。その個体は非常に珍しい52ヘルツ周波数で鳴く。この鯨ともっとも似た回遊パターンをもつシロナガスクジラ[1]ナガスクジラ[2]と比べて、52ヘルツははるかに高い周波数である。この鯨はおそらくこの周波数で鳴く世界で唯一の個体であり、その鳴き声は1980年代からさまざまな場所で定期的に検出されてきた。「世界でもっとも孤独な鯨」とされる。